伝統をたずねて

七尾和ろうそく

小山 織氏
小山 織(こやま おり)
インテリア スタイリスト

早稲田大学文学部卒業。雑誌編集部勤務の後、フリーランスのインテリアスタイリストとして、雑誌、広告のインテリアテーマのスタイリングや執筆を手がける。日本の伝統的な生活文化に造詣が深く、機能的で美しい伝統の逸品を現代の暮らしに生かす提案を続けている。著書に「和の雑貨」「引出物」「小山織の和の雑貨とインテリア」(以上マガジンハウス)「職人気質をひとつ」(NHK出版)。近著に「INSPIRED SHAPES」(講談社インターナショナル)などがある。

祈りのための灯明(とうみょう)として蜜ロウから作られたろうそくが伝来したのは奈良時代、貴重品でした。やがて戦国時代、各地でハゼの実のロウを原料にした和ろうそくの生産が始まり、江戸時代には一般の人々の暮らしの灯火になりました。明治以降、ガス灯から電灯へ、石油由来の安価な洋ろうそくの普及で和ろうそくは仏事用に限られていきます。

加賀藩でも前田利家が藩の産業としてろうそく作りを推進。北前船では九州や四国でハゼロウを、島根で灯芯の材料の石州和紙を、七尾でそれらを加工したろうそくを積み込み各地で交易をしていました。

石川県内で唯一残る高澤ろうそく店は明治二十五年の創業以来、伝統の仏事用ろうそくを制作してきました。筒状に巻いた和紙にさらにイグサの髄を巻き付けた灯芯にハゼロウを繰り返し手で塗り成形するのが伝統の手掛製法ですが、高澤ろうそく店では三代目が制作の効率を上げるために、木や金属で型を作り灯芯をセットしてロウを流し込む型流製法に切り換えました。

五代目の久さんは大学卒業後、東京の線香製造会社に五年間勤務した後、七尾に戻り昨年家業を継承。伝統の形の仏事用ろうそくの他に、新しい感覚の造形に力を注いでいます。

「人々の身近にあった火は、今、家庭から姿を消しつつあります。和ろうそくの灯火は心を穏やかにしてくれます。そうした心地よさをお届けするために、居間や食卓で灯したくなるろうそくを作りたいと努力しています」と、久さん。

灯火が大きく風に強く、煤は軽く払えば取れる和ろうそく。ロウにする植物の種類により微妙に異なる色や明るさ、好みの灯火が室内を和やかに。

手描きろうそく

■手描きろうそく
●花絵: 花のない雪国の冬、代わりにろうそくに花の絵を描いて仏壇に供えたとか。 / 月見草 10号 15.5㎝参考商品 / すみれ 5号 12cm参考商品 / こま燭台 (大)幅5.5×奥行5.5×高さ5.3cm ¥2,000 / (中)幅4×奥行4×高さ3cm ¥1,100 / (大)(中)ともに制作・岩清水久生
●ギフトアートろうそくセット: 赤に角銀と紫に角銀 各10号 / 2本セット 各15.5cm ¥1,600
●ろうそく消しあひる: 富山県の伝統的工芸品 / 高岡銅器のしんちゅう製。制作・能作 / 長さ10.5cm ¥1,500

等伯ろうそく

■等伯ろうそく
七尾出身の長谷川等伯の国宝「松林図屏風」のイメージから造形したハゼロウのろうそく。
3号 7本入 各8cm ¥2,100 / 6号 2本入 各11cm ¥1,200 / 12号1本 14cm ¥1,200 / こま燭台(大) 制作・岩清水久生 / 幅5.5×奥行5.5×高さ5.3cm ¥2,000

うるしろうそく

■うるしろうそく
能登のウルシの木の植林を応援すべくウルシの実のロウで制作。伝統的工芸品産地同志の支援や連携を心がけています。
1.5号 8本入 各約8cm ¥1,500 / こま燭台(中) 制作・岩清水久生 / 幅4×奥行4×高さ3cm ¥1,100

菜の花ろうそく

■菜の花ろうそく
菜の花畑をイメージしたデザイン。ナタネロウ製。ろうがたれにくい作りです。
豆 16本入 各約5.5cm ¥450

和ろうそくななお

■和ろうそくななお
2005年に東京銀座のデパートの要望でデザイナーと共同制作したもの。ヤシロウ製。
5本セット 各12cm ¥1,800

お問い合わせは 高澤ろうそく店
電話:0767-53-0406
https://www.takazawacandle.jp/
※価格はすべて税別価格です。
2019 vol.34