伝統をたずねて

奈良団扇

小山 織氏
小山 織(こやま おり)
インテリア スタイリスト

早稲田大学文学部卒業。 雑誌編集部勤務の後、フリーランスのインテリアスタイリストとして、雑誌、広告のインテリアテーマのスタイリングや執筆を手がける。日本の伝統的な生活文化に造詣が深く、機能的で美しい伝統の逸品を現代の暮らしに生かす提案を続けている。著書に「和の雑貨」「引出物」「小山織の和の雑貨とインテリア」(以上マガジンハウス)「職人気質をひとつ」(NHK出版)。近著に「INSPIRED SHAPES」(講談社インターナショナル)などがある。

奈良の団扇は古代に中国から伝えられ春日大社の神職の手で作られた柿渋染めの団扇が始まりとされています。透かし彫り団扇は桃山時代の文書に「献上透団扇」の記述があるとのことで、このころの存在が知られます。しかし、江戸時代中頃には透かしの団扇は制作が途絶えました。

復活させたのは、現在制作している近鉄奈良駅近くの池田含香堂 池田匡志さんから四代遡る池田栄三郎さん。江戸末期に透かし彫りの道具一式を見出して再生させたのです。

団扇は香川県丸亀の目利きが選びぬいた真竹と愛媛県伊予の熟練の職人さんが漉く和紙を材料に、六代目 匡志さんの技から生まれます。

工程は一本の竹を約七十本に割いた骨からなる扇面に柄を差し込んだ後、骨を中に挟み両面にあらかじめ染めて透かし彫りを施した二枚の紙を貼り合わせます。表裏で透かし模様がずれないように貼る紙合わせなど、数々の熟練の技を要します。

「機能性と装飾性ともに高いのが奈良団扇」と、匡志さん。幼いころ五代目の父を亡くした匡志さんの遊び場は祖父母と母の仕事場。高校在学中にすでに透かし彫りの技術に習熟し、五年前に大学卒業と同時に家業を継ぎました。

「奈良団扇の存在や独特の感性と技を育んだ奈良の歴史を、国内外の人々に関心を持っていただきたい。伝統の意匠だけでなく、技を磨き先代を超える発想でオリジナルを作っていきたい」と、穏やかな語り口から天平文化、工芸への思いが伝わります。作業工程を見せて使い手と語り合うイベントやワークショップを、様々な奈良工芸の作り手とともに企画し、その美と技の発信に努力を惜しみません。

五色の和紙に透かしの奈良の風物や天平模様、懐かしくも美しく、団扇のある室内は涼やかです。

鉄錆絵立雛 特大(台付)

■並鹿 茶色、白色、水色、赤色、黄色
模様は左から 鹿と三笠山、鹿と桜、鹿と紅葉、鹿と五重の塔、鹿と南円堂。創業以来の意匠を継承。古寺巡礼の記念にも、夏の贈り物にもふさわしいもの。
扇面 縦23.5×横23cm 柄 約14.5cm 各 ¥2,000

小町-KAZE 水色、鹿唐花文 赤色

■小町-KAZE 水色、鹿唐花文 赤色
左の小町-KAZEは小紋の文様を組み合わせたデザイン。柄は竹に塗りを施したもの。奈良県のふるさと納税の返礼品となっています。部屋の和洋を問わずお洒落な壁飾りに。右の鹿唐花文のモチーフは正倉院裂の文様。補強と装飾を兼ねた透かし入り色違いの手元和紙が奈良団扇独特。
扇面 縦23.5×横23cm 柄 約14.5cm
小町-KAZE ¥50,000 団扇立 横置 ¥1,600 鹿唐花文 ¥45,000 団扇立 縦置 ¥1,700

中正 黄色

■中正 黄色
模様のモチーフは正倉院文様の花喰鳥。透かし模様は渋型紙を用い、自ら研いで調整した刃物で、刃が折れないように柔らかな朴の丸太の台の上で突き彫りします。
扇面 縦23.5×横23cm 柄 約14.5cm ¥3,200

奈良絵扇子 女性用

■奈良絵扇子 女性用
過去・現在・未来を意味する絵因果経の絵をモチーフにした奈良絵が描かれたもの。裏面は松、竹、梅、鶴、亀の吉祥の図柄。
長さ約20cm ¥3,200

奈良絵扇子 女性用
お問い合わせは「池田含香堂」
電話 0742-22-3690
http://narauchiwa.com

※価格はすべて税別価格です。

2018 vol.33