岩崎元郎の山歩きのススメ:サウンド・オブ・ミュージックの世界

岩崎 元郎氏
岩崎 元郎(いわさき もとお)
日本登山インストラクターズ協会理事長

1945年、東京生まれ。無名山塾主宰、日本登山インストラクターズ協会理事長。中高年登山ブームの仕掛け人。81年春、ネパールヒマラヤ・ニルギリ南峰登山隊に隊長として参加。帰国後11月、無名山塾を設立。NHK教育テレビ番組『中高年のための登山学』で講師を務める。著書に『山登りの作法』(ソフトバンククリエイティブ)、『ぼくの新日本百名山』(朝日新聞出版)、『登山不適格者』(NHK出版)ほか。『文藝春秋』に「悠々山歩き」を連載中。

この7月、オーストリアでの山旅を楽しんできた。東西に細長い国で、東寄りにウィーンがあり、ほぼ中央、ドイツとの国境近くにザルツブルグがある。今回はクラーゲンフルトからザルツブルグへ、南から北へと向かう10日間のツアー。数年前、その山頂に立ったオーストリアの最高峰、グロスグロックナーとの再会とサウンド・オブ・ミュージックの世界を垣間見ることが楽しみであった。

クラーゲンフルト着陸は夜10時過ぎ、ホテルに入ったのは真夜中、連れて来られたアルトホーフェンがどんなところか見当もつかなかった。ビュッフェスタイルの朝食、トーストとチーズとコーヒーをお盆に乗せてテラスに出ると、目の前の爽やかな光景に息を飲んだ。周辺のハイキングを楽しんだ後4日目、目の前にグロスグロックナーが聳(そび)えているはずのハイリゲンブルートに入った。期待した山は雲の中。翌日、有名な観光スポット、フランツ・ヨゼフス・ヘーエまで上がったが、雲は上がってくれなかった。

ザルツブルグでは昨年、サウンド・オブ・ミュージックの50周年、様々なイベントが開催された。ジュリー・アンドリュースも顔見せしたそうで、話を聴いているだけでウキウキしてくる。ベルフェンでは昨年整備されたサウンド・オブ・ミュージック・トレイルを歩き、その先の草原、マリアと子どもたちが「ドレミの歌」を練習するシーンを撮影したまさにその草原で、地元観光協会のスタッフがランチを用意して待っていてくれた。

ザルツブルグに戻ってミラベル宮殿内の教会に入ると、トラップ大佐の次男カーツ氏の娘、エリザベス・フォン・トラップさんが出迎えてくれて大感激。一緒にドレミの歌を唄ったりした。山は残念だったが、サウンド・オブ・ミュージックの方はサプライズの連続、あっという間に過ぎた10日間であった。

2017 vol.30