いきいきライフプラン

増えている「専業主夫」の「おトク」は?

荻原 博子氏
荻原 博子(おぎわら ひろこ)
経済ジャーナリスト

難しい経済と複雑なお金の仕組みをわかりやすく解説。時代の一歩先を行く分析力に定評あり。「10年後破綻する人、幸福な人」(新潮社)「隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家計」(朝日新書)「投資なんか、おやめなさい」(新潮新書)「荻原博子のグレート老後 人生100年時代の節約術」(毎日新聞出版)など著書多数。

最近、「専業主夫」が増えています。

国勢調査の集計結果を見ると、2000年には約2万4000人だった「専業主夫」が、2015年には約5万6000人に。しかもこの間、結婚する男性の数は減っているので、割合からするとこの15年で倍以上になっているということです。

早期退職などで、しっかり退職金をもらって趣味を楽しむ優雅な「専業主夫」もいるでしょうが、中には、うつ病などを発症して働けなくなり、不本意ながら「専業主夫」を続けているという人も多いようです。

実は、「専業主夫」も、「専業主婦」同様に、経済面で様々な優遇があります。

税金では、ご主人の収入が150万円までなら、バリバリ働く奥さんの納税額を減らすことができる「配偶者控除」「特別配偶者控除」が使えます。控除額は満額で所得税38万円、住民税33万円。さらに、年収201万円以下なら、控除額は段階的に減りますが、奥さんの税金が安くなります。

仮に、奥さんが所得税率10%のご家庭なら、所得税、住民税を合わせて年間で約7万円の税金が戻ってきますから、バカになりません。

ただし、奥さんの年収が1220万円(所得1000万円)を超えてしまうと、「配偶者控除」「特別配偶者控除」は使えなくなります。

夫も「第3号被保険者」になれる?

社会保障面では、妻が会社員だと、夫の年収が130万円未満で、収入が妻の年収の半分以下だったら、夫は妻の「扶養家族」になれます。妻の「扶養家族」になると、国民年金保険料、国民健康保険料を一銭も支払わなくても、年金や健康保険に加入していることになります。

よく、「サラリーマンの妻で第3号被保険者なら、国民年金保険料、国民健康保険料を一銭も支払わなくても、年金や健康保険に加入することができる」といわれますが、妻が会社勤めや公務員でも、夫が「専業主夫」であっても、第3号被保険者になることができるのです。

性別は関係ありません。ただし、夫が60歳になると第3号被保険者の資格は喪失してしまいます。

うつ病になっても、会社を辞めずに「傷病手当金」をもらう。

最近は、40代、50代で、会社での人間関係やパワハラに疲れ切り、うつ病になって会社に行けなくなる人がいます。

うつ病は、ケガなどと比べると治るのに時間がかかりますから、焦らず、ゆっくり休んで治療しましょう。

こうした場合、いきなり会社を辞めるのではなく、健康保険の「傷病手当金」という制度を使いましょう。

この制度は、病気やケガで会社を4日以上休むなら、休業している間は給料の3分の2が、最長で1年6ヵ月支給されるというもの。仮に、月30万円の給料をもらっていた人なら、月20万円は支給されます。

ただし、月20万円もらうと、「配偶者控除」、「特別配偶者控除」は使えません。

精神的な病の場合、治療が長引くケースがかなりあります。もし、「傷病手当金」が支給される最長1年6ヵ月を超えて支給が打ち切りになっても、公的年金に加入していれば、障害年金がもらえるかもしれません。障害年金というと、指を切断したとか目が見えなくなったといった身体的な障害だけが対象かと思うかもしれませんが、うつ病のような精神的な障害でも、認定されれば給付対象となります。

ちなみに、子供が小さいのに大黒柱の妻が亡くなるというケースでは、子供が18歳になるまで遺族年金ももらえます。

2019 vol.34