いきいきライフプラン

老後資金は、いくら必要?

荻原 博子氏
荻原 博子(おぎわら ひろこ)
経済ジャーナリスト

難しい経済と複雑なお金の仕組みをわかりやすく解説。時代の一歩先を行く分析力に定評あり。「荻原博子の金持ち老後 貧乏老後」(毎日新聞社)「今年が買いどき!トクをするマイホームと住宅ローン 2015/2016年版」(主婦と生活社)「10年後破綻する人、幸福な人」(新潮社)「隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家計」(朝日新聞出版)など著書多数。

長寿社会になって、長生きできるようになったのは嬉しいけれど、お金の心配が大きくクローズアップされています。

老後資金については、「3000万円必要」とか「5000万円はないと」など、色々言われていて、こんな金額を聞くとますます不安になってきます。

その不安を解消するため、具体的に老後に必要となるお金を、2つに分けて考えておきましょう。1つは、生活していくためのお金。もう1つは、イザという時のお金。

生活していくためのお金で大切になるのが、年金です。サラリーマンの場合、公的年金のモデル世帯の支給額は月額約22万円で、実際には20万円前後のご家庭が多いようです。

ですから、この年金の支給範囲内で生活できれば、生活していくためのお金については、それほど心配しなくてもいいでしょう。住宅ローンが終わり、子供が社会人になっていれば、生活できない金額ではありません。

では、イザという時に必要になるお金は、どれくらいでしょうか?

老後に必要なのは、最低1500万円。

老後でイザという時に必要となるお金は、人によっても色々あると思いますが、具体的には「介護」と「医療」のお金という人が多いでしょう。

「介護」に実際にかかっている費用は、生命保険文化センターの調べによれば1人平均で約550万円。2人だと、約1100万円ということになっています。こう聞くと、意外と少ないと感じる方もおられると思いますが、昔とちがって今は介護保険があるので、平均的にはこれくらいですんでいるのです。

医療費については、高額療養費制度という、医療費を軽減する制度があります。70歳以上だと、一般的な収入(年収156〜370万円)の方なら、健康保険対象の治療だとどんなに高額な治療をしても月5万7600円以上はかかりません。しかも、高額療養費制度では費用を世帯合算できるので、たとえば、夫婦で入院してそれぞれが月100万円の治療を受けたとしても、治療費の自己負担は2人ぶんで月5万7600円ということです。

今は精神的な病気以外は1ヶ月以内に退院させられるケースがほとんどですが、通院の場合でも、高額療養費制度を使えば、1万4000円が上限です。

ですから、老後の医療費は、200万円〜300万円を取っておけば何とかなるのではないでしょうか。

そのほか、葬式代なども考えると、「最低限1500万円あればいい」ということになります。それで足りなければ、持ち家を売却して老後資金に充てればなんとかなるのではないでしょうか。

子供が育った時が貯めどき。

老後資金は、いつから準備すればいいのでしょうか?

子供が社会人になったら、子供にかかっていた教育費を、老後資金として貯め始めましょう。

さらに、子供が育つと、妻も働けるようになります。妻にも月7〜8万円程度のパートをしてもらえば、月10万円くらいの貯金は可能でしょう。10年間で約1200万円は貯められます。妻がそんなに働けないという人でも、今の50歳代のサラリーマンには、会社を辞める時に、まだそれなりに退職金が支給されますから、それを老後資金に充てましょう。

また、会社を退職しても、そこで人生が終わるわけではありません。何らかの仕事で社会とつながっていることは大切。経済的なことだけでなく、生き甲斐も見つけられますよ。

2018 vol.32