はあとふる対談

「お米がつなぐ 人の心」ゲスト:大桃 美代子(タレント・女優)

聞き手:堀 正典救心製薬株式会社 代表取締役社長 慶應義塾大学卒
趣味は謡曲、書道、墨絵、車、ゴルフ、ネイチャーフォトなど

大桃 美代子(おおもも みよこ)さん
大桃 美代子(おおもも みよこ)さん
タレント・女優

新潟県北魚沼郡(現:魚沼市)出身。ニュースからバラエティまで幅広い分野で活躍。2004年10月の中越地震では、魚沼の実家へ帰省中に被災。その後、「風化させない」をテーマに復興について考え、地元で米作りをはじめる。食育や農業に関心が高く、雑穀アドバイザー、野菜ソムリエ、おさかなマイスター・アドバイザー等の食に関する資格を多数取得。地域活性化にも力を入れており、数年に渡り仕事で地域活性化に取り組む各地の取組みを視察していて、講演等でも紹介している。「魚沼特使」「高知県観光特使」。

伝えたいが原点
本日はタレント、女優などマルチに活躍されている大桃美代子さんにお話を伺います。まず芸能界に入られたきっかけを教えてください。
大桃
進学を機に東京にやって来て、雑誌で髪型や洋服を撮る、今でいう読者モデルをアルバイト的にやっていました。その時一緒だったプロのモデルさんに「私、カメラの前でうまく笑えないんです」と相談したら、「あなたはスチールではなく、ムービー(テレビや映画などの動画)の仕事が向いているんじゃない」とアドバイスされ、知り合いを紹介していただきました。最初に始めたのがテレビのアシスタントの仕事でした。番組内でプレゼント紹介など自分もしゃべる仕事をやってみたいと思ったのがきっかけです。
ご自身の言葉で何かを伝えたいと思われたのですね。
大桃
単に原稿を読むのではなく、自分が感じたことでしか伝えられないものを言葉にして伝えることに喜びを感じるようになり、そのまま現在に至っています。もし明日会社を辞めようと思っている人がいて、私の言葉が明日もう1日がんばろうという原動力になれば嬉しいですし、この仕事の良さだと思います。
ふるさとへの想い
2004年10月の中越地震をきっかけに、活動に変化が?
大桃
その日は土曜日で、私は新潟でシンポジウムが予定されていて、1泊だけでもと思い魚沼の実家に帰省していました。その時起こったのが中越地震です。余震が続く中、見慣れた故郷の景色が壊れていく状況がすごくショックでした。今まで私にとって故郷とは変わらないもの、心の中の物差しの一つでした。退屈だなと思う時は東京でやりたいことがあってワクワクしていたり、すごくホッとする時は自分がどこか疲れていたり…。それがたった1回の揺れでこんなにも壊れてしまうなんて。その後、復興のために何かお手伝いができないものかと考え始めました。
それでお米作りを?
大桃
父が兼業農家だったので、農業だったら1人でできるのではと思い、始めてみましたが、実際はそんなに簡単なものではなかったですね。それでも新潟の復興する姿は、他の地域や未来の自分達の姿であるということを伝えたかったです。地震大国の日本では、いつどこで大規模災害が起こるかわからないですから。東日本大震災の後は、福島県の矢吹町で地元の子供達と一緒に稲作りをする「田んぼの学校」を行っています。ここでは無農薬栽培で福島産コシヒカリをブランディングしようと、「カブトエビ農法」に挑戦しています。
カブトエビ農法?
大桃
はい、甲殻類の一種なのですが、カブトエビは農薬に弱いので、これが育つということは無農薬の証明になり、安心、安全に繋がるという考えです。田んぼに生える雑草の若い芽を食べてくれ、動き回ることで田の水を濁らせ、雑草に光合成をさせず生えにくい環境にする利点があるんです。
この活動は今も継続されているのですか?
大桃
田んぼの学校は今年で5年目になります。人間が手を加えなくても雑草が生えなくなる状況を一つの成功としていますが、未だ成功には至っていません。和歌山と仙台に成功事例があるみたいなので一度見に行きたいですね。無農薬農法は農薬にかかる費用も減り、経済的にも地域農家のためになります。矢吹町モデルが確立し、一緒に米作りをしている子供たちが大人になった時、日本の食を支える農業が職業選択肢の一つになれば嬉しいです。
日本人の米の消費量は年々減っていると聞きますが。
大桃
以前(昭和40年前後)は1人あたり年間120キロ位あったのが、今は約半分です。昔は3食お米だったのが、パンやパスタなど食の多様化によってお米が選ばれる回数が少なくなったのが理由でしょうか。でもやはりお米は日本人の命を支え、繋いできた食材なので、これを少なくしてはいけないと思います。もちろん、私はパンも食べますよ(笑)。
食へのこだわり
韓国に造詣が深いそうですね。
大桃
NHKの韓国ドラマの番組宣伝を担当したのがきっかけです。当時「冬のソナタ」などで一気にブームになり、韓流スターにインタビューする機会などもあり、韓国語を勉強し、4ヶ月間、語学留学もしました。
語学の勉強は今でも?
大桃
ドラマを観て聞き取りくらいはしていますね。話す機会は少なくなったので、忘れないよう努力しています。
すごい、勉強好きなのですね。野菜ソムリエなど食に関する資格もたくさん取得されていますね。
大桃
雑穀やお魚について知って食べていただこうという資格をいくつか取得しています。きっかけは韓国に行った時で、黒米やヒエ、麦などが入った雑穀ご飯が良く出てきました。それを食べていたらすごく体の調子が良くなったんです。白いご飯に混ぜて炊くことでミネラルや食物繊維などの栄養分も増えますので、これだったら新しい食の提案ができるのではと思い勉強しました。
ご自身のブランド米をお持ちだとか。食育のプロとしてお勧めの食材は?
大桃
「桃米」(ももまい)(黒米)と言いまして、既に9回収穫しています。お勧め食材は玄米ですね。私は玄米に桃米、それに小豆を入れて毎月一日に「お一日(ついたち)ご飯」と言って炊いています。赤い色は魔除けの意味もあると信じています。黒米はポリフェノールや食物繊維を含んでいるので健康に良いです。色も綺麗になって、更に大豆を入れた豆ごはんは、とってもかわいくて食べる時に楽しみができます。できればご自身で圧力鍋を使って炊いてみることをお勧めします。自分の感覚を研ぎ澄まし、水加減、火加減を調整して炊くと、できたものが愛おしく思えますよ。
私も玄米に赤米、黒米などを混ぜて食べていますが、玄米食の注意点は?
大桃
まずはよく噛んで食べることで、これは消化を助けるだけでなく、顔の筋肉も鍛えられますし、脳への刺激にも繋がるので脳の活性化を目指す方にはお勧めの食材、食べ方です。
最近はやわらかい食べ物が多いですからね。
大桃
一口で50回噛むのは大変ですが、よく噛むと満腹中枢に刺激がいくので、少しの量で食べたなと思え、ダイエットにも繋がると思います。あとは、野菜や果物をバランス良く食べることも重要ですね。「ベジフルセブン」という健康のために1日に必要な量の指針があります。子供たちにはグー・チョキ・パーで憶えさせています。グーは1スコアで握りこぶしが量(野菜70g、果物だと100g)を表し、チョキはフルーツの量で2スコア、パーは野菜の量で5スコアの合計7スコアを食べることを推奨しています。
私にとっての贅沢
休日の過ごし方は?
大桃
旅行が好きで、特にパワースポットを巡るのが好きです。でも結局は旅先での出会いというか、人に逢いに行っている気もしますね。あとはDIY(Do It Yourself)で、自分で棚やテーブルを作ったり、スペインタイルを貼った天板で世界に一つしかないオリジナルなテーブルに料理を並べ、写真を撮ったりしています。自分用の電動工具も持っています。今の社会は手間を省くことが良いとされる風潮がありますが、むしろ手間を掛けることこそが贅沢の一つで、現代人は本当の贅沢を手放しているのではないかと思うことがあり、自分でできる範囲で楽しんでいます。
農業もその一つなのかもしれませんね。最後に大切にしている言葉や、今後の抱負をお聞かせください。
大桃
農業する時にとても応援してくれた知人が最近亡くなられたのですが、その方がいつも私に言ってくれた言葉で「人間しようよ」という言葉です。この方は料理を作る会社の人だったのですが、少し障害がある男の子が大根を剥いていると「この子と一緒。この子はこれしかできないかもしれないけれど、誰よりもうまく大根を剥くんだよ」。そして「あなたはテレビに出ていて他の人が知っているから色々お膳立てしてもらえるけど、やっていることや、居る場所に関係なく、人間はみんな一緒なんだ」と仰っていました。私は感謝の気持ちを忘れてはいけないという意味に捉えてこの言葉を大事にしています。今後の活動として、私は現在、地域活性化のために頑張る団体を表彰する地域再生大賞の選考委員をしていますが、地方再生に関する情報発信など地域興しに関わる様々な活動をライフワークとしてやっていきたいです。
これからも多方面でのご活躍をお祈りいたします。本日はありがとうございました。
2018 vol.32