健康アドバイス
快く旅をするために
昔に比べて交通の便がよくなったとはいえ、車や電車に揺られて長時間移動すると、座っていただけなのに旅先に着いたときには疲れきっていたり、気分が悪くなっていることがあります。もちろん、乗り物酔いのせいもあるかもしれませんが、長時間椅子に座っていることも原因の1つと考えられます。長時間同じ姿勢で座っていると、全身の血液循環が悪くなってどうきがしたり、だるさや足のむくみ、肩こりなどが現れてきます。また、脳への血液量が減少すると脳が酸欠状態になって頭がボーッとしてきます。車で渋滞したときなど長時間座席に座っていなければならないようなときには足踏みをしたり、からだを動かすように心がけ、全身の血液循環が悪くならないように気をつけましょう。
湯あたり
長時間温泉につかると温熱効果とリラックス効果で末梢の血管が広がって徐々に血圧が下がります。このとき急に立ち上がったりすると、一時的に脳が貧血状態になって、めまいや立ちくらみがして気分も悪くなることがあります。また冬場は脱衣時の寒さやお湯につかったときの熱さなどで血圧が急激に上昇して心臓に負担がかかります。急な血圧の変動による心臓のトラブルを避けると共に、できればぬるめの半身浴を心がけ、旅の疲れを癒したいものです。
ロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)と時差ボケ
最近は、気軽に海外へ行けるようになり、多くの人が世界各地を旅行しています。旅行先はアジアがもっとも多くを占めていますが、ヨーロッパやオセアニアなど飛行時間が10時間を超える地域への旅行者もかなりいます。このような長時間の飛行をする時に問題となるのが最近よく耳にするロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)です。
長時間足を動かさずに同じ姿勢で座り続けることにより血行障害が起こり、その結果、太腿の奥にある静脈に血のかたまり(深部静脈血栓)ができます。この血栓が、立ち上がった時に血流に乗り、肺に達して血管を詰まらせてしまう(肺塞栓)のがロングフライト血栓症です。症状としては、血栓が形成された段階では太腿から下に発赤、はれ、痛みなどが出る程度ですが、さらに進むと呼吸困難や心拍数増加、胸痛、意識消失などを起こし、最悪の場合そのまま死亡するケースもあります。また、この疾患は高齢者や肥満の人に多く発症するといわれています。
元々は座席が狭く手足を動かしにくいエコノミークラスの旅客から報告されたため、エコノミークラス症候群とも呼ばれていますが、実際にはファーストクラスやビジネスクラスでも報告があり、バスや列車、あるいは劇場などでも一定の姿勢のまま長時間座り続ければ同様の危険性があるとされています。しかし、換気や気圧調整のために乾燥している狭い航空機内で、トイレに立つのが面倒などの理由から水分を摂らないでいると、次第に脱水症状を起こし、その結果、血液の流れが悪くなり血栓ができやすくなるというのは明らかです。そのため航空会社では、適度な水分を摂り、着席中でも積極的に足の運動を行うよう呼びかけるなどして、乗客のロングフライト血栓症に対する予防意識を高めています。
また、長時間の飛行で、遠い国へ行けば行くほど問題となるのが時差ボケです。狭い機内で十分な睡眠が取れず、時差などの影響で頭がボーッとしたり、からだがだるいなどの症状を経験された方も多いのではないでしょうか。これではせっかくの旅行も台無しです。時差ボケ予防法としては、飛行機に搭乗後は過度のアルコールやカフェインの摂取には気をつけ、到着する目的地の時刻に合わせて食事と睡眠をとるようにしましょう。そして目的地に到着後は太陽の光を浴びて体内時計を調整するとよいでしょう。