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健康アドバイス

ゴルフは余裕が大切です

現在の日本のゴルフ人口は約520万人*ともいわれ、その多くを占めるのは60歳以上の年代。春や秋のような爽やかな季節に広大な自然の中でゴルフをするのは本当に気持ちのよいものですが、ベストシーズンは人気も高く予約が取りにくいことから、比較的予約が取りやすく格安でプレーできる真夏や真冬といった気候の厳しい時期にも、多くの人がゴルフ場に足を運ぶことになります。ところが、このような季節にゴルフをすれば病気や事故のリスクも高くなるのはいうまでもありません。
*レジャー白書2021

ゴルフは余裕が大切です

脱水症状が心筋梗塞を招く

私たちのからだは、運動によって産生した熱を発汗による気化熱で体外に逃がし、体温を調節しています。このため夏場のスポーツでは発汗が著しくなり、炎天下で長時間ゴルフをしてプレー後体重を計ると1〜2キロも体重が減っていることを経験します。このように汗というかたちで体外へ出ていく大量の水分は、主に血液中から失われます。その結果、血液の粘度が上がって血栓ができやすくなり、血管が詰まりやすくなってしまうのです。

狭心症は、心臓の周りを王様の冠のように取り巻いている冠状動脈が血栓などによって狭められ心筋が一時的に酸欠になる状態であり、心筋梗塞は、冠状動脈がふさがることによって酸欠が進み、心筋の一部が壊死に至ったものです。これらの疾患は、もともと冠状動脈で動脈硬化が起こっている場合に発症しやすいことから、普段からコレステロール値が高く、動脈硬化が疑われる人の場合には特に注意が必要だといえます。しかし、プレー中に心筋梗塞を発症した人の全てが狭心症の既往を持っていたわけではなく、半数近くの人には狭心症の既往がなかったというデータもあります。心臓に自信がある人でも安心はできないといえます。

ところで、ハーフが終わった後の昼食時やプレー中のビールは控えた方が賢明です。なぜなら、アルコールには利尿作用があるために飲んだ量よりも多くの水分が尿として出てしまうからです。上手な水分補給をするには、発汗時に一緒に失われる塩分なども補えるスポーツドリンクが最適ですが、麦茶やミネラルウォーターでもかまいません。プレー中に持ち歩くことが絶対必要です。

ゴルフと脳卒中

実は、ゴルフは脳卒中の発症にも深い関わりを持っています。そもそも脳卒中は脳の血管が詰まって起こる脳梗塞と脳の血管が破れて起こる脳出血の2つのタイプに分類されますが、夏場のゴルフでは脳梗塞の発症が比較的多くみられます。一方、血圧は寒い時期に上昇するため、主に血圧の上昇が関与する脳出血の発症は冬場に注意が必要といえます。また、ゴルフのプレーにともなう精神的な緊張によって血圧が上昇することで脳の血管が破裂する危険性が高くなり、脳出血に至ることもあります。

以上のように夏場のゴルフは、特に循環器系に対して高いリスクをともなうものです。循環器に不安のある方は、なるべくならば炎天下でのプレーは控えていただいたほうがよろしいと思います。決して無理をせず、余裕を持ってプレーすることを心掛けましょう。