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現代人と睡眠:眠りのメカニズムを知りましょう

監修:木村敬二郎(医療法人敬和会木村内科院長)

「睡眠」は昔から、栄養・運動と並んで健康を維持増進するための基本の1つとされています。しかし、変化の激しい複雑化した現代人の生活は、心身のストレスが増えて充分な睡眠をとれないのが実状です。こうした現代人の「不眠」の問題は年々深刻化してきており、欧米では3〜5人に1人が、わが国でも数人に1人がなんらかの不眠症状に悩んでいます。不眠症とは、睡眠時問が何時間以下という定義はなく、朝起きたときに寝不足感が強く、しかも本人が睡眠不足のために疲れなどの苦痛を感じている状態をいいます。本当の疲れを癒し、明日への元気を生み出すためには、睡眠の「量」だけでなく、「質」も考えなくてはなりません。しばしの不眠で悩む人はいても、不眠で生命を絶たれた人を見たことはありませんが、元気のいい活動は心地よい眠りとさわやかな目覚めが支えています。毎日気持よく眠りたいものです。

質の良い眠りを心がけましょう

眠りのメカニズム

レム睡眠とノンレム睡眠

私たちは、いったん眠りにつくと、同じ深さの睡眠が続くように考えがちです。しかし、睡眠は質の異なる2つの相から成り立っています。1つは、睡眠中に眼球がすばやく動くことから名付けられたレム睡眠、もう1つは、眼球運動をともなわないノンレム睡眠と呼ばれるものです。ノンレム睡眠は、図のようにさらに浅い睡眠から深い睡眠まで4段階(S 1〜S4)に分れ、正常な人の睡眠では、ノンレム睡眠に始まり、S1→S2→S3の順にもっとも深い睡眠(S4)まで、いっきに達していきます。このノンレム睡眠が1時間半〜2時間ほど続くと、一度睡眠が浅くなり、今度は、最初のレム睡眠が現われてきます。このノンレム睡眠とレム睡眠が1つのセットになり、一晩に4〜5回繰り返すのが睡眠の一般的なパターンとされています。

レム睡眠とノンレム睡眠

からだの眠り"レム睡眠"

ところで、睡眠中に脳波や筋電図をとると、レム睡眠の時には、脳はかなり活動していますが、からだは筋肉の緊張感がなくなりグッタリしていることがわかります。つまり、レム睡眠は、からだを休める役割を果たしていると考えられ、このことから『からだの眠り』ともいわれています。夢を見るのはこの時期で、夢が記憶に残るのはレム睡眠時に脳が活動しているからだと考えられています。

脳の眠り"ノンレム睡眠"

一方、ノンレム睡眠は、脳の発達にしたがって増えるといわれ、胎児では、レム睡眠が75%と睡眠の大部分を占めていますが、新生児では50%、3〜5歳児で20%前後と、しだいにレム睡眠が少なくなり、ノンレム睡眠が多くなってきます。これは、成長につれて脳を使うことが多くなり、脳も眠りが必要になってくるためです。ノンレム睡眠は、このように脳を休める役割を担っているところから、『脳の眠り』ともいわれています。また、近年、ノンレム睡眠のもっとも深い(S4)時に成長ホルモンが分泌されることが明らかにされ、「寝る子は育つ」という諺も科学的に実証されたといえます。