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心臓の構造を知りましょう(循環器系)

生きたポンプである心臓は、右心房、右心室、左心房、左心室からなる4つの部屋に分かれています。それぞれが一定のリズムで収縮と弛緩を繰り返し、全身に血液を送っています。健康な心臓が1日に送り出す血液量はドラム缶40本分にもなります。全身から戻ってきた静脈血は、上下大静脈から右心房に流れ込みます。(A)右心房の血液は右心室から肺動脈を通って(B)、肺で酸素を取り込んだ後、左右の肺から各2本ずつの肺静脈を経て左心房に入り(C)、僧帽弁を通過して左心室に送られます(D)。ここで血液は左心室の強い収縮力を受けて大動脈から全身に送り出されます(E)。

心臓の構造

肺循環(小循環)・体循環(大循環)

●肺循環(小循環)
全身から戻ってきた炭酸ガスを多く含む静脈血は一度心臓に戻った後、肺で炭酸ガスから酸素に交換されます(ガス交換)。その後、酸素を多く含んだ動脈血が心臓から全身に送り出されます。肺循環(小循環)は心臓→肺動脈→肺→肺静脈→心臓の一連の流れ。1周する時間は約3〜4秒です。

肺循環(小循環)・体循環(大循環)

●体循環(大循環)
心臓のポンプ機能によって体内を循環する血液は、全身の各器官や細胞のすみずみに新鮮な酸素や栄養素を運び、さらに不要となった炭酸ガスや老廃物を受け取って、からだの外に排出するために絶え間なく流れています。体循環(大循環)は心臓→大動脈→動脈→毛細血管→静脈→大静脈→心臓の一連の流れです。1周する時間は約20秒です。

循環器系のバックアップ(代償)機能と心不全

心臓のポンプ機能が低下すると交感神経系の興奮が起こります。その結果、心拍数の増加と心収縮力の増強をもたらし、さらに末梢循環系に対しても動脈の収縮と静脈の伸展性低下というバックアップ反応を起こします。末梢動脈の収縮は腹部臓器や四肢などへの循環を制限し脳や心臓などへの循環を優先させるためのもので、末梢静脈の伸展性低下は末梢静脈に貯えられた血液を中心静脈に移動させ、心臓に戻る血液量を増加させて心拍出量を増加させるためのものです。

しかし、急激な心臓のポンプ機能低下が起こると、バックアップ機能が追いつかずに全身に十分な酸素を供給できなくなることがあります。これが急性心不全で、低酸素血症の改善と心拍出量の確保が必要となります。一方、慢性心不全とは心臓のポンプ機能低下が慢性化することで、心拍出量を保つためのバックアップ機能が過剰になってさまざまな障害を受けた状態をいいます。例えば、心拍出量を維持するためのバックアップ機能である循環血液量の増加や交感神経系の興奮による末梢血管の収縮が過剰になれば、心臓にかかる負担はますます大きくなり、心不全の症状も悪化することになります。

心臓のポンプ機能が低下する

●脳への血流量が減少すると
心臓から送り出された血液のうち、脳には全体の約15%(安静時)が流れ込みます。脳は、きわめて酸素不足に弱い組織ですから、血流量が減少すると意識や気力の低下、立ちくらみ、めまいが起こります。

●全身の細胞や組織に十分な血液が行き渡らなくなると
からだは心拍数の増加や心筋収縮力の増強によって血液循環を高めたり、呼吸を増やして大量の酸素を取り込むことで不足を補おうとします。このようなからだの代償反応として起こるのが動悸(どうき)や息切れです。

●毛細血管に血行不良が起こると
全身の毛細血管では血液によって運ばれてきた酸素や栄養分と組織から出た老廃物や余分な水分の交換が行われています。血行が悪くなると余分な水分が組織にたまってむくみやすくなります。

●筋肉に血行不良が起こると
筋肉は、酸素を効率よく利用して運動します。十分な酸素が筋肉に供給されなければ、疲労物質がたまり、筋肉疲労や筋肉痛、あるいは全身倦怠感などが起こります。