気血
気血とは
「気血思想」、「気血論」とも呼ばれ、東洋医学の中心となる基本概念の一つです。すなわち東洋医学では、体の基本となるものは「気」と「血」であって、この両者が体を巡り、バランスをとることによって生命の活動が成り立っていると考えているのです。「血気盛(けっきざか)り」「血気(けっき)にはやる」といった今日の慣用語は、この気血から出た言葉です。「気」とは大気、天気のように自然界における気という概念から出た言葉で、形がなくて目には見えないものとして、体内におけるエネルギーと捉えられています。一方、「血」は反対に目に見えるものを指しており、血液のみならず体液を総称したものと捉えられています。
健康な状態は、この気と血がバランスを取りながら順調に体内を巡っている状態であるとされ、反対に病的な状態は、気と血の巡りが悪くなり、バランスが崩れていると考え、病気を治すにはまずこの不調状態を調整することとされてきました。「病は気から」あるいは「気を病む」ということが病気とされるのはこうした気血思想から生まれたことなのです。また、気と血はそれぞれ独立したものではなく、気の異常は血の変調をもたらし、血の異常は気の変調をおこすといった具合に、お互いが依存、協調しあいながらバランスを取り合うものとして存在しており、現代中医学においても「気は血の師である」「血は気の母である」などと称し、気と血の関係を重要視しています。
※現代漢方治療の理論の一つである「気血水」は江戸時代中期に活躍した名医、吉益南涯が気血思想からなる血を、さらに血液と血液以外の体液(水)とに分けたものとして知られています。【参考資料】 長濱善夫「東洋医学概説」(創元社)他