岩崎元郎の山歩きのススメ

冬は沖縄

岩崎 元郎氏
岩崎 元郎(いわさき もとお)
日本登山インストラクターズ協会理事長

1945年、東京生まれ。無名山塾主宰、日本登山インストラクターズ協会理事長。中高年登山ブームの仕掛け人。81年春、ネパールヒマラヤ・ニルギリ南峰登山隊に隊長として参加。帰国後11月、無名山塾を設立。NHK教育テレビ番組『中高年のための登山学』で講師を務める。著書に『山登りの作法』(ソフトバンククリエイティブ)、『ぼくの新日本百名山』(朝日新聞出版)、『登山不適格者』(NHK出版)ほか。

私見だが、沖縄がブームのようである。本島はもとより、その先にある宮古島、石垣島、西表島、波照間島などが日替わりでテレビの画面に登場。きれいな海が広がっている。さて山好きは、いつどんな風にブームに便乗するか。夏は登山のベストシーズン、沖縄に出かけているヒマはない。中部山岳や北海道の山を目指すんだから。

日照時間が短く、それらの山々が雪に閉ざされる冬、山好きが沖縄の山に目をむけるチャンスだ。とはいうものの東京から那覇までの距離は約1600km、那覇から石垣までは400km、計2000kmという距離は、同じ日本とはいえはるか彼方。おいそれと行ける所ではない。そこでご提案、「沖縄県最高峰登頂」という大義名分を用意する、というもの。沖縄県の最高峰は石垣島に聳える於茂登岳(おもとだけ)。直行便もあるが、那覇で乗り換えて石垣島に足を下ろすというのが一般的だ。

実は最高峰登頂もさることながら、石垣島自体の魅力は大きい。2007年8月には西表国立公園が拡張されて、西表石垣国立公園になっている。島の北西部に位置する川平湾は、『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で「わざわざ訪れる価値がある観光地」として三つ星、と評価されている。サンゴ礁の海、最高級の美しさだ。三つ星と評された観光地は、全国で17ヶ所しかない。於茂登岳に登頂し、川平湾でグラスボートを楽しめば、往復4000kmの交通費は充分もとがとれる。

於茂登岳は標高525・5m、高尾山よりも低い山だ。登山口まではタクシーかレンタカー利用。帰路を考えるとレンタカーがベター。山頂まで約2km、整備された一本道が伸びていて登り約1時間。初心者でも無理なく沖縄県最高峰に立つことができる。筆者が初めて訪れたのは2004年12月、事前に地元観光協会に状況を問い合わせたところ、ハブ対策として長袖シャツに長ズボン、帽子をかぶり、ちゃんとしたトレッキングシューズを用意するようアドバイスされた。が、その後数回石垣島を訪れているが、ハブに遭遇したことは一度もない。

2020 vol.36