岩崎元郎の山歩きのススメ

ネパールヒマラヤ・
トレッキング

岩崎 元郎氏
岩崎 元郎(いわさき もとお)
日本登山インストラクターズ協会理事長

1945年、東京生まれ。無名山塾顧問、日本登山インストラクターズ協会理事長。中高年登山ブームの仕掛け人。81年春、ネパールヒマラヤ・ニルギリ南峰登山隊に隊長として参加。帰国後11月、無名山塾を設立。NHK教育テレビ番組『中高年のための登山学』で講師を務める。著書に『山登りの作法』(ソフトバンククリエイティブ)、『ぼくの新日本百名山』(朝日新聞出版)、『登山不適格者』(NHK出版)ほか。

山が好きという方は、だれもが海外の山に興味をお持ちだろう。しかし、なかなか実現できない。体力・技術・お金、夢をはばむ要因はいくつか考えられるが、一番の障害は休暇ではあるまいか。長期休暇が取りにくい日本社会である。なんとかなりそうなのが年末年始、ひとがんばりすれば、八日間くらいの長期休暇は取得できるのではあるまいか。

海外の山、とインプットされれば、だれもが思い浮かべるのはヨーロッパ・アルプスであろう。しかし、ヨーロッパは遠い、日程に余裕がもてない。ぼくがお勧めしたいのは、ネパールヒマラヤ・トレッキングである。ネパールは南アジア、インド亜大陸北部に位置する国である。首都はカトマンズ、ネパールの旅はここから始まる。ちなみにヒマラヤは、「雪の棲家」を意味する。

さて、どんなコースを歩くとしようか。ちょっと手抜きだが、時間がないということを理由に、旅行会社のトレッキングツアーに参加することをお勧めする。代表的なコースはエベレスト街道エリアとアンナプルナ山群エリアに大別されるが、前者は高山病のリスクがおおきいので、後者に的を絞って、ジョムソン街道を辿りプーンヒルに立つコースが取り組み易い。

ぼくが初めてネパールを訪れたのは1981年3月~5月、40年以上も昔のことになる。プーンヒル登り口のゴレパニは茶店が二軒あるだけだったが、現在では大きな集落になっている。トレッキングが大ブームを招いた証であろう。ポカラのはずれからキャラバンを開始した記憶があるが、現在では車道が山の上までのびている。車を上手に利用すれば、一日か二日でゴレパニに到着。いともたやすくヒマラヤの大展望を目にすることができるという寸法だ。

日程に余裕があれば復路は往路を戻らず、シーカを経由してカリガンダキに下り、タトパニに立ち寄ることをお勧めしたい。ネパール語でタト=熱い、パニ=水の意味である。