ツボで養生シリーズ

顔の乾燥のツボ〈頬車きょうしゃ

宮地 つかさ氏
宮地 つかさ(みやじ つかさ)
鍼灸師・国際中医薬膳師

保湿クリームを朝晩欠かさず使っていても、顔の乾燥は気になるものです。特に秋から冬にかけて、次第に乾燥の度合いがひどくなっていくのがわかります。しかもたとえ潤いを補っても、その潤いを肌に留めておくための水分保持能力は、残念ながら年齢と共に低下していきます。

さらに乾燥は顔だけに限りません。着替えの度になぜか粉雪のような角質が床に舞い散るのも、毎年繰り返される冬の風物詩です。何とかならないものかと思いつつも、かかとのひび、指先のあかぎれ、背中のかゆみなど、寒い間ずっと続く「痛い」「かゆい」のほうが問題です。カサカサしているだけなら見て見ぬふりです。

ところで乾燥肌は「ドライスキン」とカタカナで表記されることがあります。ドライといえば、口の中が乾いてドライマウス、鼻が乾いてドライノーズ、目が乾いてドライアイなど、いずれも「乾き過ぎて不快」な時に「ドライ」という表現がされているようです。

しかも目、鼻、口です。つまり顔が乾いているのです。ツボは、小顔にする美容鍼やマッサージなどでよく使われる「頬車」です。むくみを減らして小顔に見せると同時に、必要な水分保持能力を高めて乾燥を防ぐ働きがあるとされています。「頬車」に軽く指を置いて口を開け閉めするだけで、適度なマッサージ効果が得られます。顎関節症をはじめとする噛み合わせの治療にも欠かせないツボです。

食材は柿がおすすめです。包丁で切ると、断面がヌルヌルしています。潤い不足の身体にとって必要だからこそ、冬に向かって肌が乾燥してくる晩秋に旬を迎えるのだと思います。

顔の乾燥のツボ〈頬車〉きょうしゃ
【探し方】
耳の付け根と、あごの中間点
【ポイント】
軽く指を置いて口を開け閉めすると、痛いかもしれません。美容では小顔にするマッサージなどで、治療では顎関節症や噛み合わせが悪い時に使います。