いきいきライフプラン

iDeCoのデメリット
(個人型確定拠出年金)

荻原 博子氏
荻原 博子(おぎわら ひろこ)
経済ジャーナリスト

難しい経済と複雑なお金の仕組みをわかりやすく解説。時代の一歩先を行く分析力に定評あり。「荻原博子のグレート老後 人生100年時代の節約術」(毎日新聞出版)「払ってはいけない 資産を減らす50の悪習慣」(新潮新書)「年金だけでも暮らせます」(PHP新書)「役所は教えてくれない定年前後『お金』の裏ワザ」(SB新書)など著書多数。

メリットばかり強調される「iDeCo」のデメリットは?

政府の「老後資金2000万円不足問題」で、老後不安が増大しているようです。

そのせいか、個人年金のiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する人が急増しているようで、政府でも、加入要件のさらなる拡大を検討しているようです。

iDeCoは、老後に備えて金融商品を買っていく制度ですが、掛け金全額が所得控除になる「節税」の効果があり、運用益が非課税になるので儲かった時に手取りが増えるというメリットがあります。また、受け取りは一時金か年金のどちらかになり、一時金なら「退職所得控除」、年金なら「公的年金等控除」が利用できます。

こうしたiDeCoのメリットは、政府をはじめとして各金融機関が山のように宣伝しているので、そちらで見てください。実は、人によってはiDeCoの積立がデメリットになるケースもあります。そこでここでは、あえて政府や金融機関があまり言わない、iDeCoに加入するデメリットについて見ていきたいと思います。

専業主婦には、デメリットが多い。

iDeCoは、自営業者や会社に企業年金がない人の私的年金制度としてスタートしましたが、2017年からは、専業主婦や公務員も入れるようになっています。

ただ、専業主婦の場合、iDeCoに入るメリットはほとんどないでしょう。

なぜなら、専業主婦やパートでも収入がそんなにないという人は、税金を支払っていないからです。税金は、年間収入が100万円以上だと住民税が、103万円以上だと所得税がかかりますが、それ以下の人は税金を支払う必要がありません。

iDeCoの最大のメリットは「節税」ですが、そもそも税金を支払っていない人は、「節税」する必要がないのです。

また、iDeCoに加入すると、手数料がかかります。

手数料は、加入時に「新規加入時手数料」として2829円がかかり、さらにiDeCo専用口座の「口座管理手数料」がかかります。この金額は金融機関にもよりますが、年間3000円から1万円。銀行なら手数料どころか利息がつく積立預金も、iDeCoだとこれだけの手数料が取られるということ。また、投資信託などは、この手数料のほかに、「信託報酬」という手数料もかかります。

加えて、老後に給付を受けるときには「給付事務手数料」が必要です。

自分のお金でも60歳まで出せない!

専業主婦にはメリットがないことはご理解いただけたと思いますが、自営業者はどうでしょうか。

多額の税金を納めている自営業者なら、「節税」できれば助かります。

ただ、自営業者の場合、商売に浮き沈みがあり、必ず儲かるとは限りません。逆に、損をすることもありますが、損をしてお金が足りなくなっても、iDeCoは、死亡したり高度障害を負ったりしない限り、60歳まで引き出せません。リストラや病気などまさかの事態には使えないのです。

ですから、自営業者で「節税」したい人は、何かあった時に融資が受けられる「小規模企業共済」の方がいいでしょう。

また、iDeCoは60歳まで掛けて60歳からもらいますが、50代で入ると、支給が61歳以降になります。

そもそも、iDeCoは基本的には投資商品。投資というのは、株価や金利がこれから上がっていく景気の良い時に始めるもの。今のように、景気の先行きが見えなくなっている中でするものではありません。

損したくないなら、メリットだけでなく、こうしたデメリットにも目を向ける!

2020 vol.36